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ムードも女が欲しているものの一つです。 女というのは、男と違って、もともと目を閉じる習慣があります。しかし目を閉じるのは、見ないということではなく、まぶたの裏側に別の映像をつくることなのです。それは現実を消して、想像に身をゆだねることといってもいいでしょう。 たとえば、キスするにしても、目の前にいる現実の男ではなく、理想の男の映像をまぶたの裏に描いているかもしれないのです。
ムードというのは、語源的には「ほの暗い」「うす暗い」という意味です。 女は真っ暗でもダメ、明るくてもダメで、その中間に身を置こうとします。あいまいで不確かですが、そこはすべてがはっきりしないことで、より自分の思い描くものをふくらませることができるのです。 そのような「よくわからないもの」につき合う気構えがないと、女の特性を理解することはできません。 よく「あの課長さんステキ!」と、職場の女性社員たちが盛り上がっているのを聞きます。 どんな男かと見ると、ムスッとした風采のあがらない中年男だったりして、男は「なんであんなのがいいのか。おれのほうがよっぽどいいだろうに・・・」などとひそかに思うことがあるものです。
こういうとき、女の鑑識眼を「たいしたことない」と軽蔑するのは禁物です。女が男にとって理解しがたいのは、まさにこの点に起因しているからです。 女たちが「ステキ!」といって騒いでいる男を見て「なんだ、あんな男」と思う男性は、女が好む要素を客観的に決定できるとおもっているのです。 たとえば、おれはあいつよりもいい大学を出て、背も高いし、ルックスもいい。女にだってやさしい。そのおれに比べれば、同い年のくせして、髪は薄くなっているし、女にはめったに口もきかぬ無粋な男だ。そんな男に女がキャアキャアいうのは、見る目がない証拠だ、という論理になってしまうのです。
男は女にモテない男の条件として、マイナス要因を列挙する傾向がありますが、女はどこか一点でも自分の感性と合致する点を認めると、それでほかのマイナスは、すべて帳消しにしてしまうところがあるのです。 これは、男と女の視野の広さの違いに由来するものと思われます。つまり男は複眼思考で視野が広いといえます。 ある男がいかに美声の持ち主であっても、「あいつはいい声をしているが、背が低くて顔もイマイチだからなあ」と、すべての条件を過不足なくとらえて評価することになります。 ところが女性は、一点を見つめる傾向があるので、その男の美声に魅惑されてしまうと、もうトロンとしてしまって、多少見た目が劣っていても「お金持ちだし」などとプラス店を加えて、ただひたすら「ステキ!」と思ってしまうのです。
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