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アメリカの人類学者ヘレン・フィッシャー博士は、国連の人口統計をもとに、世界58の国と地域で、離婚に対するデータを分析したようです。 そこで分かったのが、結婚後、比較的早い時期に離婚が多いということと、離婚のピークは4年目で、そのあとの離婚数はだんだんと減っていくというものでした。
文化や社会制度の違いがあるにもかかわらず、なぜ4年なのでしょうか? フィッシャー博士は「子育て」とそれに必要な「愛着」の期間なのではないかと推測しているようです。 結婚してすぐに子供ができた場合、4年後には授乳も終わっているし、子どもはひとりで歩き、言葉もかなり理解できるようになっています。つまり、母親が付きっきりで世話を見なければならない期間は終了します。 逆にそれ以前は、育児に大忙しで余裕がほとんどない状態。だから、夫と協力して子育てをする必要があります。そのため、男女の間で恋愛とは異なる「愛着」という感情がわくようなシステムが、あらかじめ体と脳に備わった可能性があるということです。
ただし、子育ては4年経てば落ち着きます。すると愛着もなくなり、もはや同じ相手の一緒にいる必然性はありません。 男女の関係を維持できるのは子育て期間である4年が限度で、それ以降になると生物学上、脳にはカップルを維持する仕掛けがなくなってしまうのです。そのため、離婚は結婚4年目が多くなるというのが、フィッシャー博士が出した結論です。 また、4年経ったら配偶者を変えたほうが、多くの子孫を残すのに有利だったという説もあります。
複数の家族が集団生活していた原始時代は、乳離れした子どもの世話は周囲に任せ、パートナーを変えて新しい関係を結ぶことができたと考えられます。 両親が違えば、子どもの体質も変わってきます。ということは、仮に伝染病などが流行したとしても、全滅は防げるということです。 環境が変わりやすい厳しい自然界では、似たような体質の子どもばかりが生まれてくるのは危険だったのかもしれません。伝染病に対抗して子孫を残すには、可能な限り多様な子どもを作るべきだということです。 こうした戦略を、私たち人間の祖先は、進化の過程で身につけてきました。 結婚も離婚も、すべては多くの子孫を残すためなのです。
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